テンプレート:文学 『細雪』(ささめゆき)は日本の作家谷崎潤一郎の長編小説。全編の会話が大阪弁で書かれた異色の作品である(谷崎自身は東京出身)。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに太平洋戦争前の崩壊寸前の滅びの美を内包し挽歌的切なさをも醸しだしている。
概略[]
谷崎は第二次世界大戦中の1942年秋に河口湖畔の勝山に滞在し、月刊誌『中央公論』で『細雪』の執筆を始めるが、1943年に軍部から、戦時にそぐわないとして掲載を止められる。1944年(昭和19年)には私家版を作り、友人に配ったりしていたが、それも軍により印刷配布を禁止される。終戦後、京都に住まいを移し、1948年(昭和23年)に作品を完成させる。
その後『細雪』は評価され、谷崎は毎日出版文化賞(1947年)や朝日文化賞(1949年)を受賞する。また、作家の三島由紀夫はこの『細雪』をエッセイ等で幾度か取り上げて高く評価した。
2000年には同度国文学学生指定図書にも指定された。
『細雪』の舞台となった神戸市東灘区の谷崎の旧邸は保存運動がNPO法人谷崎文学友の会と地元住民によって進められ、1990年に移築保存に成功し、「倚松庵」と名づけられている。
あらすじ[]
大阪船場で古い暖簾を誇る蒔岡家の四人姉妹 鶴子、幸子、雪子、妙子の繰り広げる物語。 三女雪子の見合いから話は始まる。
三女雪子は姉妹のうち最も美人なのであるが、なぜか縁遠く、三十路に入っても嫁げず姉の幸子夫婦が奔走している。一方四女妙子は始終恋愛事件をおこして姉達をてこずらせている。
映画化[]
『細雪』はこれまで三度映画化されている。いずれも日本映画史を代表するトップ女優が出演して話題となった。
- 『細雪』(1950年、新東宝) 監督:阿部豊、出演:花井蘭子、轟夕起子、山根寿子、高峰秀子、伊志井寛、河津清三郎、田中春男、田崎潤、浦辺粂子、藤田進、香川京子、横山運平、ほか
- 『細雪』(1959年、大映) 監督:島耕二、出演:轟夕起子、京マチ子、山本富士子、叶順子、川崎敬三、根上淳、菅原謙二、船越英二、信欣三、山茶花究、浦辺粂子、三宅邦子、北原義郎、川上康子、八潮悠子、藤田佳子、穂高のり子、瀧花久子、村田知英子、ほか
- 『細雪』(1983年、東宝) 監督:市川崑、出演:岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子、伊丹十三、石坂浩二、岸部一徳、桂小米朝、江本孟紀、小坂一也、小林昭二、辻萬長、常田富士男、浜村純、横山道代、三宅邦子、細川俊之、三條美紀、仙道敦子、頭師孝雄、橋爪淳、ほか
テレビドラマ化[]
- 1957年 - 日本テレビ系/脚本:西村みゆき/出演:坪内美詠子、萬代峯子、谷崎恵美子、清水将夫ほか
- 1959年 - NET(現・テレビ朝日)系/脚本:菊田一夫/出演:乙羽信子、浦島千歌子、八千草薫、太刀川洋一ほか
- 1965年 - 日本テレビ系/脚本:井手俊郎/出演:淡島千景、草笛光子、司葉子、水野久美ほか
- 1966年 - フジテレビ系/出演:浦島千歌子、児玉利和、岡田茉莉子、神山繁ほか
- 1980年 - よみうりテレビ系/演出:田井洋子/出演:島田陽子、新珠三千代、加茂さくら、吉沢京子ほか
舞台[]
『細雪』は幾度も舞台化され、多くの有名女優たちが四姉妹を演じてきた。上演回数は1000回を超える伝統の舞台となっており、会場も帝国劇場などが使用されている。
参考文献[]
- 谷崎潤一郎『細雪』(中央公論新社 1983年1月 ISBN 412200991X)
- 谷崎潤一郎『細雪』(上巻)改定版(新潮社 1997年4月 ISBN 4101005125)
- 谷崎潤一郎『細雪』(中巻)改定版( 新潮社 1997年4月 ISBN 4101005133)
- 谷崎潤一郎『細雪』(下巻)改定版( 新潮社 1997年4月 ISBN 4101005141)
- 谷崎松子『湘竹居追想 谷崎潤一郎と「細雪」の世界』(中央公論新社 1986年10月 ISBN 412201364X、谷崎の妻の著作)
関連項目[]
- 芦屋市谷崎潤一郎記念館
- 芦屋市
- 神戸市東灘区
- 和田夏十
外部リンク[]
- 倚松庵 谷崎が家族と住んでいた『細雪』のモデルとなった家。
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